劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)

劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)とは

溶血性レンサ球菌(いわゆる溶連菌)には、多くの種類があり、一般的には急性咽頭炎(のどの風邪)などを引き起こす細菌として知られていますが、まれに引き起こされることがある重篤な病状として、劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)が知られています。劇症型溶血性レンサ球菌感染症は、突発的に発症し、敗血症などの重篤な症状を引き起こし急速に多臓器不全が進行することがある重症感染症であり、その死亡率は約30%とされていますが、重症化するメカニズムはまだ解明されていません。
劇症型溶血性レンサ球菌感染症に関する専門的な情報は、国立感染症研究所のウェブサイトで確認することができます。
国立感染症研究所別ウィンドウで開く

主な症状

最初は、腕や足の痛みや腫れ、発熱、血圧の低下などから始まることが多く、その後、組織が壊死(えし)したり、呼吸状態の悪化・肝不全・腎不全などの多臓器不全を来たし、場合によっては数時間で、非常に急速に全身状態が悪化します。

治療方法

適切な抗菌薬の迅速な投与、必要に応じて緊急手術による広範囲の病巣(びょうそう)の除去、集中治療室での全身状態の管理、などを行います。

Q&A

Q1. 日常生活ではどのようなことに気をつけたらよいのですか?

A1. 劇症型溶血性レンサ球菌感染症に限らず、多くの感染症の予防には、手指衛生や咳エチケット、傷口の清潔な処置といった、基本的な感染防止対策が有効です。
また、発熱や咳や全身倦怠感などで食事が取れないなどの体調が悪いときは、かかりつけの医療機関などを受診しましょう。
「すぐに病院に行った方がよいか」や「救急車を呼ぶべきか」悩んだりためらう時に、医師・看護師等の専門家からアドバイスを受けることができる救急安心センター事業【♯7119】に電話相談しましょう。
♯7119導入地域については、消防庁のウェブサイトをご参照ください。
救急安心センター事業(#7119)関連情報別ウィンドウで開く  

一般的な感染症対策について[975KB]別ウィンドウで開く

Q2. 劇症型溶血性レンサ球菌は海外でも増えていますか?

A2. 世界的にCOVID-19の対策が緩和された2022年以降、多くの地域で増加が確認されており、昨シーズン流行した地域もあれば今シーズン流行している地域もあります。このような増加傾向については日本に限定されるものではありません。

Q3. なぜ近年増加しているのですか?

A3. 劇症型溶血性レンサ球菌感染症の患者数が増加している理由は必ずしも明らかではありませんが、2023年の夏以降、A群溶血性レンサ球菌による急性咽頭炎の患者数が増加していることが要因の一つである可能性があると考えられています。(劇症型溶血性レンサ球菌感染症の原因となる菌種としては、A群、B群、C群、G群レンサ球菌が主なものとして知られています)

(参考)A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数について

Q4. 劇症型溶血性レンサ球菌感染症の治療薬はありますか?治りますか?

A4. ペニシリン系抗菌薬と呼ばれる抗菌薬が第一選択肢であり、使用される抗菌薬自体は一般的に使用されるものです。しかし、抗菌薬による治療のみでは改善が困難な場合が多く、緊急手術による広範囲の壊死(えし)した病巣(びょうそう)の除去や集中治療室での全身状態の管理を要する場合があります。

Q5. 劇症型溶血性レンサ球菌感染症のワクチンはありますか?

A5. 現在のところ、劇症型溶血性レンサ球菌感染症、その原因である溶血性レンサ球菌に有効な薬事承認されたワクチンはありません。

海外への渡航を検討されている方へ

Q6. 劇症型溶血性レンサ球菌感染症が増加している国への渡航はやめたほうがよいでしょうか?

A6. 世界保健機関(WHO)は、この感染症が稀に引き起こされるものであること等を踏まえ、劇症型溶血性レンサ球菌感染症を含む侵襲性A群レンサ球菌感染症が流行している国への渡航について、いかなる制限も推奨しないとしています。

詳しくは下記「お知らせ」をご覧ください。

海外から日本への渡航を検討されている方へ

Q7. 劇症型溶血性レンサ球菌感染症が増加している日本への渡航は延期したほうがよいでしょうか?

A7. 日本への渡航を予定されている方については、劇症型溶血性レンサ球菌感染症の流行を理由に旅行を取りやめる必要はありません。渡航に際しては、手指衛生や咳エチケット、傷口の清潔な処置等の基本的な感染症対策をお願いします。

詳しくは下記「お知らせ」をご覧ください。

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お知らせ(令和6年3月29日掲載、6月11日一部更新)

日本語

溶血性レンサ球菌(いわゆる溶連菌)は、一般的には急性咽頭炎などを引き起こす細菌ですが、稀に引き起こされることがある重篤な病状として、劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)が知られています。

溶連菌咽頭炎については、2023年10月以降、過去10年間で最大規模の流行が起こっていましたが、STSSについても、昨年一年間の全国での届出報告数は941人(速報値)であり、1999年に統計をとりはじめて以降、最多であった2019年を上回りました。更に、本年は、6月2日時点の届出報告数は977人(速報値)と、昨年の届出報告数を既に上回っています。

STSSの患者数の増加の理由については必ずしも明らかではありませんが、経年的な増加傾向に加え、COVID-19の対策緩和以降、様々な呼吸器感染症が増加する中で、溶連菌咽頭炎の患者数が増加したことも原因の一つである可能性があると考えられます。

なお、溶連菌咽頭炎やSTSSについては世界的にCOVID-19の対策が緩和された2022年以降、多くの地域で増加が確認されており、昨シーズン流行した地域もあれば今シーズン流行している地域もあります。このような増加傾向については日本に限定されるものではありません。

なお、日本への渡航を予定されている方については、本疾患の流行を理由に旅行を取りやめる必要はありません。渡航に際しては、手指衛生や咳エチケット、傷口の清潔な処置等の基本的な感染症対策をお願いします。

※厚生労働省ホームページより引用しております。

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ご了承くださいませ。