麻しんについて

麻しん(はしか)とは

麻しんは、麻しんウイルスによって引き起こされる急性の全身感染症として知られています。

麻しんウイルスの感染経路は、空気感染飛沫感染接触感染で、ヒトからヒトへ感染が伝播し、その感染力は非常に強いと言われています。
 免疫を持っていない人が感染すると、ほぼ100%発症し、一度感染して発症すると一生免疫が持続すると言われています。

 

症状

感染すると約10日後に発熱や咳、鼻水といった風邪のような症状が現れます。
2~3日熱が続いた後、39℃以上の高熱と発疹が出現します。 

肺炎、中耳炎を合併しやすく、患者1,000人に1人の割合で脳炎が発症すると言われています。
死亡する割合も、先進国であっても1,000人に1人と言われています。

その他の合併症として、10万人に1人程度と頻度は高くないものの、麻しんウイルスに感染後、特に学童期に亜急性硬化性全脳炎
(SSPE)と呼ばれる中枢神経疾患を発症することもあります。

ワクチンについて

麻しんは感染力が強く、空気感染もするので、手洗い、マスクのみで予防はできません。
麻しんの予防接種が最も有効な予防法といえます。また、麻しんの患者さんに接触した場合、72時間以内に麻しんワクチンの接種をすることで、麻しんの発症を予防できる可能性があります。

 接触後5、6日以内であれば、γ-グロブリンの注射で発症を抑えることができる可能性がありますが、安易にとれる方法ではありません。詳しくは、かかりつけの医師とご相談ください。
 また、定期接種の対象者だけではなく、医療・教育関係者や海外渡航を計画している成人も、麻しんの罹患歴がなく、2回の予防接種歴が明らかでない場合は予防接種を検討してください。

麻しん含有ワクチン(主に接種されているのは、麻しん風しん混合ワクチン)を接種することによって、95%程度の人が麻しんウイルスに対する免疫を獲得することができると言われています。
 また、2回の接種を受けることで1回の接種では免疫が付かなかった方の多くに免疫をつけることができます。
2006年度から1歳児と小学校入学前1年間の小児の2回接種制度が始まり、2008年度から2012年度の5年間に限り、
中学1年生と高校3年生相当年齢の人に2回目のワクチンが定期接種として導入されていました。

ワクチン接種後の反応として多く見られる症状として発熱、発疹、鼻汁、咳嗽、注射部位紅斑・腫脹などがみられます。重大な副反応として、アナフィラキシー、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、脳炎・脳症、けいれん、血小板減少性紫斑病ごく稀に(0.1%未満)報告されていますが、ワクチンとの因果関係が明らかでない場合も含まれています。

なお、麻しん含有ワクチンは、ニワトリの胚細胞を用いて製造されており、卵そのものを使っていないため
卵アレルギーによるアレルギー反応の心配はほとんどないとされています。
しかし、重度のアレルギー(アナフィラキシー反応の既往のある人など)のある方は、ワクチンに含まれるその他の成分によるアレルギー反応が生ずる可能性もあるので、接種時にかかりつけの医師に相談してください。

http://国立感染症研究所感染症疫学センターのウェブサイト別ウィンドウで開く